英語の公用語化の意味するところ
2010年8月 9日
英語を社内の「公用語」とする方針を打ち出す企業が増えています。楽天、ファーストリテ
イリングは2年後をめどに始める予定です。楽天ではすでに取締役会での議論などで英語
が使われているようです。5日の2010年1-6月期決算の発表では三木谷浩史社長が英
語で会見を行い、トップが自ら「公用語化」を実践してみせました。
少子高齢化などで国内市場の成長に限界があるなかで、海外展開を加速しようという企
業が増えています。英語の公用語化もその流れの一環です。「時と場合で使い分ければそ
れでよく、わざわざ会見などを英語で行う意味はあるのか」との疑問の声が出ることは、当
の三木谷社長も予測していたはずです。にもかかわらず、いま英語での会見に踏み切った
のは、社内の英語力を高めなければグローバル展開はないという強い危機感からではない
でしょうか。英語で会見を開くことで、社員にその強い危機感を共有してもらいたいという狙
いもあったのかもしれません。
英語を話せれば、個人でも世界を相手にビジネスができるのがインターネットの世界です。
そのため、成長している国はITや英語に力を入れています。韓国などがそうです。少し前の
日本経済新聞のコラムでは、東京証券取引所の斉藤惇社長が韓国の高校の授業が英語
で行われていることに衝撃を受け「グローバル化対応の人材教育で日本は韓国に大きく水
をあけられてしまう」と語った、という話が紹介されていました。
英語を話せる人が多いインドやフィリピンなどでは、以前から欧米企業からコールセンター
やソフト開発などの業務を請け負っている、といった話がよく聞かれます。しかし、日本で海
外企業からこうした業務を受託したという話は聞いたことがありません。もし英語が話せたら、
ビジネスの機会が増えるだけでなく、雇用の受け皿が広がるなど、いろいろな可能性が生
まれます。しかし、「日本企業はコミュニケーションが取れないのにコスト(人件費)だけは高
い」と思う海外企業が多いのが現実ではないでしょうか。今後、日本企業(日本人)とビジネ
スをしようと思う海外企業がどんどん増えていくとは到底思えません。
一部の機関投資家は「長期的に考えれば、新興国などで海外展開を強化している企業の
株式を仕込むには(株価水準が低いいまは)絶好の投資機会」といいます。投資先を選別す
る際に海外でどれだけ売り上げを上げているかを参考にする個人投資家も増えているようで
す。いずれにしろ、グローバルで活躍する企業のすそ野が広がっていかなければ、日本企業
の存在感は薄れるばかりです。そのために英語力をどうやったら引き上げられるか。教育も
含めて抜本的に考える時期にきていると言えます。(編集長・仮)

