決算発表シーズンも終盤。上場企業全体で見ると原材料高や米国景気減速などの影響で今期は7期ぶりの減益見通しですが、株主への利益還元を強化しようという企業が依然として多いことが印象に残りました。
例えば、ローソン。2009年2月期は営業利益が前期比9%、経常利益が同10%減る予想にもかかわらず、年間配当を前2月期の110円より50円も多い160円にします。さらに自社株買いも実施する方針です。4月半ばの日本経済新聞朝刊には同社の新浪剛史社長の「向こう3年は最低でも160円配を継続する」というインタビュー記事が載っていました。3月期決算でも「今期は減益なのに増配」という企業が目に付きました。
こうした企業の姿勢は株主の立場からすると高く評価できます。しかし、従業員にとってはどうでしょう。「株主の取り分を厚くするのもいいけど、給料にも回してよ」といった気持ちにならないのでしょうか。
話しは変わりますが、このほど日本経済新聞出版社から『月光!マネー学』(田村正之著)という新刊が出ました。その前書きで著者は「投資」がこれから重要になる理由を説明しています。要約すると以下のようになります。「企業は国際競争が激しさを増す中で賃金を上げづらくなったが、株主への配分は増やしている。企業の成長の恩恵を受けるには、過去のように従業員として働くだけでは不十分。株主としての立場でも企業と関わっていくことが重要になる」
この本、実は私が編集を担当しました。編集作業が佳境に入ったときと決算発表シーズンが重なったこともあり、上記の記述に関してはあれこれ考えてしまいました。「増配の分を一部給料に回せば、消費が活性化し、日本経済や株価にも好影響があるかもしれない」などと思いを巡らせました。企業の事業活動によって生み出される収益には限りがあります。それをどのように配分するか。国庫への配分である税金も含め、経済・社会にとって最良の姿を考えていかねばなりません。(編集長・Y)
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