企業の経営破綻のニュースに慣れっこのようになっていましたが、10日の大和生命の更正特例法の適用申請は別格です。生命保険会社の経営破綻は7年ぶり。「あの時代」に早くも戻ったのか、と驚くばかりです。
1999年6月の東邦生命の経営破綻を皮切りに生保の破綻が相次ぎ、「契約者が払い込んだお金はどうなる」といった記事が新聞や雑誌にたびたび掲載されました。また、銀行預金のペイオフに対する備えを紹介する記事も数多くありました。金融システムへの不信感から、貸金庫がよく売れたのもこのころです。
そうした記憶が薄れてきた今になって新たな生保の経営破綻。株安も激しく、10日の日経平均株価の終値は前日比881円安の8276円。2003年4月28日の安値7607円が視野に入ってきました。
日本経済が危機的な状況だった「あの時代」と今を比較してみましょう。良い点は大手企業の財務体質の安定度が格段に増していることです。「日本企業は現預金を持ちすぎて消極的だ」と批判されたりもしましたが、その慎重さが今となってはプラスに作用しています。設備や人員の余剰度も小さいと見られています。
次に悪い点。それは欧米の経済が日本以上に危機的状況に陥っていることに尽きるのではないでしょうか。前回の一連の危機では、破綻した生命保険会社や銀行の顧客・事業基盤を海外勢が引き継ぐケースが相次ぎました。外国人投資家をハゲタカと呼んで嫌悪する人もいましたが、今になって考えると、日本の危機を余裕を持って見下し、隙あらば安値で買ってやろうという海外勢がいたのは貴重なことだったのです。安値で買い叩かれるのは日本人にとっては屈辱的でしょうが、安値で買い叩く投資家の登場を期待できない状況の恐ろしさよりはましでしょう。
恐怖は既に現実のものとなっています。日本株が信じられないほどの暴落を続けるのは、外国人が安値を拾う余力をなくしたことが大きな要因です。「良い点」は株価下落の歯止めになっていない。経済・金融を20年余りウオッチしてきましたが、最大級の異変が起こっていると感じざるを得ません。(編集長・Y)
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