「実体経済の悪化」を報じるニュースでよく取り上げられるタクシー業界。今年半ばごろから客離れが一段と深刻になっているようです。私自身も最近はタクシーをあまり利用しなくなりました。節約が第一の理由ですが、無愛想な乗務員さんが増えたような気がすることもタクシー離れの要因です。
元々タクシーには苦手意識があります。社会人になってまもなく始まったバブル景気のころに、乗務員さんに何度も横柄な態度であしらわれた経験が影響しています。当時は長距離利用する上客がたくさんいて、短い距離を移動する若造など軽視される風潮がありました。おかげで近距離でタクシーに乗るときは、「近場で申し訳ないけど」と前フリして行き先を告げるようになり、それは今でも続けています。
バブル崩壊後は乗務員さんの接客の質が総じて向上したのに、最近また悪化の兆しがある--。そんな見方を取材先のベテラン金融コンサルタントA氏に話したら、「同感」という返答。A氏によれば「バブルのころと違って、ひどい客離れによる疲弊感が士気を低下させているのでは」ということでした。
もちろん、私やA氏の限られた経験だけで「最近のタクシーのサービスの質は低下した」と結論づけることはできません。「競争が激しくなり乗務員さんの愛想が良くなった」などと感じている利用客もいるかもしれません。とにかく、世界的な金融危機により先行き不安が高まる中で、実体経済の好不調を端的に映し出す「タクシー」を見て、色んな事を考える人が増えていることは確かでしょう。
『日経会社情報2009新春号』の編集作業が佳境に入る11月終盤から12月初旬にかけて、深夜勤務の後にタクシーで帰宅せざるをえない日が何日かあります。乗車しながら、今度はどんな思いを巡らせることになるのか。少しでも良い気分で帰宅できればうれしいのですが。(編集長・Y)
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